TOPICS

思考力検定

2023年03月22日

正答率の低かった問題の紹介(2022年度 第2回 7級)

2022年度 第2回 7級で、正答率の低かった問題の分析です。
今回は、「変化と関係」の問題です。

現在の学習指導要領では、プログラミング的思考の重要性が謳われており、教科書にもプログラミングが扱われています。

思考力検定ではプログラミング的思考が必要な問題を、「変化と関係」の内容として以前から出題していました。

今回の問題の概要は、次の通りです。

【問題】
円の半径にあたる部分に棒を取りつけて、棒を回転させます。
まず、棒を下の図のように置きます。

次に指示を出して、棒を右回りか左回りに回転させます。
例えば、(右1)という指示を出すと、棒は右回りに、点線の1目盛り分だけ回転します。

指示は続けて2つ以上出すことができます。
例えば、(右1)→(右2)の場合は、(右1)の指示で回転させたあとの位置から、
(右2)の指示にしたがって棒を回転させます。

では、元の位置から(右2)→(左3)と指示を出したあと、あと1回の指示で棒が元の位置に戻るようにするには、どのような指示を出せばよいですか。
数値が20より小さくなるものをすべて答えなさい。

【考え方】
(右2)→(左3)という指示で、棒は下の図のように回転して、元の位置よりも1目盛りだけ左回りに移動しているとわかります。

ですから、(右1)の指示を出せば、棒は元の位置に戻りますね。

でも、元の位置に戻る指示は他にもあります。
さらに右回りにもう1回転しても、元の位置に戻りますね。
1回転で12目盛り移動するので、1+12=13 より (右13)でも元の位置に戻ります。
なお、さらにもう1回転すると、13+12=25 で20を超えてしまいます。

また、左回りにも回転できるので、(左11)でも元の位置に戻ります。

なお、左回りでもう1回転すると、11+12=23 で20を超えてしまいます。

よって答えは、(右1)、(右13)、(左11)の3つとなります。

答案の内訳は、次の通りでした。
なお、正答率=得点率なので、3つとも答えられた児童は35.3%でしたが、完答以外についても部分点が与えられているので、正答率(得点率)は完答率よりも高くなっています。


完答…約35.3%
(右1)と(左11)のみ…約13.0%
(右1)のみ…約3.4%
(右1)と(右13)のみ…約1.4%
(右13)のみ…約0.5%
(左11)のみ…0%
3つの解答のうち、1つまたは2つを含んでいる解答…約7.2%
数値のみ…約13.0%
無回答…約10.6%


このように、右回りの(右1)と左回りの(左11)のまでは考えられたが、(右13)までは考えが至らなかった児童が多くいました。

一方で、約7.2%は、「(右1)と(右11)」「(右1)と(左11)と(右12)」「(右1)と(左12)と(右13)」「(右1)と(左12)と(右11)」など、惜しいものもたくさんあるなか、「(右1)と(左1)と(左2)」「(右1)と(左6)と(左7)」など、(右1)以外がまったく違うものもありました。

いずれにしても、少なくとも(右1)を答えられた児童は6割程度いましたので、ルールを読み取って正しく指示を出せる児童はそれなりにいる結果となりました。

しかし、数値のみの約13.0%は、まったく理解できていないような解答がほとんどを占めていました。ただ、「1と11と13」や「1と13」「1と11」といったように、「右・左」を書いていない児童も、わずかでしたがいました。

このように、コンピュータの世界では正しく指示を出すことが必要ですが、それと同じように、現実世界においても、いかに相手に正しく理解してもらえるかが重要です。
そのためにも、このようなプログラミング的思考が必要な問題を通して、論理的に言葉で指示を出す力を養って欲しいと思います。

CONTACT

お問い合わせ窓口

ご質問や受検申込、サポート教材についてなど
専用フォームからお問い合わせください。

\ 塾・学校・企業の方はこちら /

団体専用フォーム

\ 個人の方はこちら /

個人専用フォーム