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思考力検定
2026年03月26日
正答率の低かった問題の紹介(2025年度 第2回 3級)
2025年度 第2回のふり返り、3級の問題です。
【問題】
図1のような∠B=90°の△ABCがあり、AB=4cm、BC=3cm、AC=5cm です。図2のように、△ABCを直線Lについて対称移動したものを△GHIとします。点Aから直線Lまでの距離が2cm、点Cから直線Lまでの距離が5cm のとき、六角形ABCIHGの面積を求めなさい。
一見すると簡単に解けそうな問題ですが、正答率は21.6%とかなり低かったです。本問は問題5だったということもあり、ここまでたどり着けなかった可能性も否めません。(問題1から問題4までで時間を使い過ぎてしまった可能性もあります。) その証左として、無回答者が34.3%もいました。
3級なので、中学2年生までの数学や算数で解けるようになっていますが、中学3年生の学習内容を使って解くこともできますし、小学生の算数で解くこともできます。では、さっそく考え方を見てみましょう。
【考え方1:三平方の定理を使う】
図2の点Aから辺CIに垂線を下ろすと、△ACDができます。△ACDは直角三角形で、斜辺ACが5cm、辺CDが3cmなので、辺ADの長さは、AD²=5²-3²=25-9=16 より、AD=4cm となります。よって、△ACDの面積は、3×4÷2=6(cm²) です。
また、辺AGと辺CIと直線Lの交点をE、Fとします。このとき、四角形ADFEの面積は、4×2=8(cm²) となります。
△ABCの面積も6cm²なので、直線Lより左側の部分の面積は、6+6+8=20(cm²) となります。
よって、六角形ABCIHGの面積は、20×2=40(cm²) となります。
【考え方2:直角三角形の合同を使う】
考え方1と同様に、点Aから辺CIに垂線を下ろし、△ACDを作ります。図1の△ABCと△ACDはどちらも直角三角形で、斜辺ACは共通(5cm)、斜辺ではない他の1辺の長さが3cmで等しいため、△ABCと△ACDは合同です。よって、どちらも面積は6cm²となります。あとは、考え方1と同様です。
【考え方3:算数の「合同な図形のかき方」から考える】
考え方2の△ABCと△ACDの合同を、小学5年で学習する「合同な三角形のかき方」を発展させて考えます。
直角三角形ACDは、底辺の長さと斜辺の長さが決まっています。この直角三角形ACDを作図するとき、まず底辺CDをかきます。次に、点Dから垂線を引きます。最後に、点Cから5cmの幅のコンパスで弧を描くと、その弧と点Dからの垂線が交わったところが点Aとなります。△ABCも同様にかくことができるので、△ABCと△ACDは合同です。あとは、考え方2と同様です。
【考え方4:図形を動かして考える】
最後は、図2の△ABCを動かす考え方です。
辺AGを左方向に3cm伸ばして点Jを取ります。点Jから垂線を下ろすと、点Cとくっつきます。この△AJCは、考え方2・3の合同の考え方を踏まえると、△ABCと合同となります。つまり、図2の△ABCは△AJCに置き換えられることになります。
直線Lの右側も同様に操作すると、△GHIを△GKIに置き換えられることができます。すると、六角形ABCIHGが、縦が4cm、横が10cmの長方形JCIKに変形できました。
あとは長方形の面積の計算をするだけなので、4×10=40(cm²) となります。
では、解答類型とその反応率を見てみましょう。
47cm²:7.8% 56cm²:3.7% 28cm²:2.8%
30cm²:1.8% 34cm²:1.8% 68cm²:1.8%
92cm²:1.8% 7x+12cm²:1.8% その他:20.8%
この問題は考え方も記述させる問題だったので、どのように考えたかも解答用紙の回答から見ることができました。(考え方を書いていない答案もありますので、考え方が書かれていた答案からの分析です)
【47cm²】最も反応率が高かったのは、台形の高さを5cmとした典型的な間違いです。
(4+10)×5÷2=35 35+6×2=47(cm²)
【56cm²】△ABCの面積を12cm²と計算していました。考え方1と同様に△ADCを作ると、同じ形の三角形が4つできるので、12×4=48(cm²)
残った四角形の面積は本当は16cm²なのですが、なぜか8cm²となっており、48+8=56(cm²) と考えていました。
他にも、台形ACIGの面積を28cm²としている回答もありましたが、その根拠が書かれていなかったので、想像できませんでした。ただ、台形ACIGの面積28cm²は正しいので、この台形の高さ4cmは正しく読み取れているようです。
【28cm²】台形ACIGだけの面積を答えた人と、4つの合同な三角形を除いて残った1辺4cmの正方形の面積を4cm²としてしまった(6×4+4=28)人がいました。
【30cm²】台形ACIGの面積を求める計算式はあっていたのですが、28を18と書き間違え、6+6+18=30(cm²) としていました。
【34cm²】△GHIの6cm²(または△ABC)を足し忘れていました。
【68cm²】台形ACIGの面積を、(4+10)×4=56(cm²) と求め、6+6+56=68(cm²) としていました。
【92cm²】台形ACIGの面積を、4×10×4÷2=80(cm²) と求め、6+6+80=92(cm²) としていました。
【7x+12】台形の高さが分からなかったため、高さをxとしていました。
●まとめ●
この問題は、まずは見えない高さが見えるかどうかがポイントです。そのうえで合同な三角形が見えるかどうかという問題ですが、そのあとの考え方は多々あります。そして、3級でありながらも小学生でも考えられるという問題でした。
思考力検定の問題は ”複数の考え方” がある問題を出題していますが、中学生対象の上位級には、算数でも考えることができる問題も多く出題されます。
中学受験や公立中高一貫校を目指している小学生は、ぜひ上位級にも挑戦し、柔軟な思考力を試してみてください。
