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思考力検定
2025年10月19日
正答率の低かった問題の紹介(2025年度 第1回 5級)
2025年度 第1回のふり返り、今回は5級の問題です。
【問題】
上田さんのクラスで実施された、英語・数学・国語のテストの結果が発表されました。下の表は、それぞれの教科と3教科の合計の、上位3人の名前と得点を示したもので、1位から3位はそれぞれ1人ずつでした。
この表から、上田さんの英語と数学の得点はそれぞれ最低でも何点だと考えられますか。
【考え方】
表から、上田さんの国語の得点は98点、3教科の合計得点は274点だから、英語と数学の2教科の合計得点は、
274−98=176(点)
英語の得点は、3位の小林さんの90点より低いので、最高でも89点です。
英語が89点とすると、数学は、
176−89=87(点)
また、数学の得点は、3位の下村さんの92点より低いので、最高でも91点です。
数学が91点とすると、英語は、
176−91=85(点)
よって、英語の得点は最低でも85点、数学の得点は最低でも87点と考えられます。
正答率は、英語と数学の両方とも正解していたのが33.8%、英語のみ正解してたのが4.4%、数学のみ正解してたのが0.0%でした。また、解答類型とその反応率は次の通りです。
【英語】
88点:26.5% 76点:8.8% 86点:5.9% 87点:5.9%
89点:5.9% 無回答:1.5% その他:7.3%
【数学】
88点:27.9% 76点:8.8% 91点:8.8% 85点:4.4%
86点:4.4% 90点:2.9% 無回答:1.5% その他:7.5%
では、誤答のうち、目立ったものを見てみましょう。
ちなみに本問題は「考え方」も答えさせているので、どのように考えたのかもよくわかりました。
〈88点〉
88点と答えた人は、英語・数学とも88点と答えていました。こちらは、3教科の合計から国語の98点を引き、それを2で割って半分にしています。
274−98=176(点) 176÷2=88(点)
〈76点〉
76点と答えた人は、英語・数学とも76点と答えていました。こちらは、3教科の合計から国語の98点を引いて176を出したあと、英語・数学のどちらかが100点だったときに、もう一方が最低の点数となると判断していました。
274−98=176(点) 176−100=76(点)
〈英語89点、数学91点〉
この値は、英語3位の90点の1点下、数学3位の92点の1点下を答えたものです。
〈英語87点、数学85点〉
一見、英語85点・数学87点を逆に書いてしまっただけのように見えます。しかし、答案用紙を見ると、3教科の合計から国語の98点を引いた値(274−98=176点)から、英語・数学それぞれの3位の1点下(英語89点、数学91点)を引いていました。
英語:176−89=87(点) 数学:176−91点=85(点)
〈その他〉
答案用紙を見ていてわかるのが、計算ミスの多さです。
上田さんの3教科の合計274点ではなく、その上にある下村さんの275点を使っているもの、274−98=176(点)の引き算や176÷2のわり算を間違えているものなどなど、いろいろありました。
●まとめ●
今回の結果から、多くの受検者が3位の得点を「境界」として意識できていた一方で、その数値をどのように使って最小値を導くかという論理の詰めが甘いケースが目立ちました。正解にたどり着くためには、条件を読み取る力に加えて「仮定→検証→調整」のステップを踏んで、矛盾のない点数の組み合わせを見出す力が重要です。単なる境界の把握で止まらず、境界をもとに論理的に値を絞り込む力を伸ばしていく必要があります。