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思考力検定
2025年10月13日
正答率の低かった問題の紹介(2025年度 第1回 6級)
2025年度 第1回のふり返り、今回は6級の問題です。
【問題】
山根さん、川本さん、海野さんの3人が店で働くことになりました。3人は、12月1日から同時に働き始めますが、12月31日までの1か月間の働き方はそれぞれちがい、
山根さん…2日間続けて働いて1日休み
川本さん…3日間続けて働いて2日間続けて休み
海野さん…5日間続けて働いて3日間続けて休み
をくり返します。
2回目に3人が同時に休みになるのは、12月何日ですか。
【考え方】
働く日を○、休む日を×とすると、次のような表に
なります。
よって、3人が同時に休みになるのは、1回目が12月15日、2回目が12月24日です。
正答率は40.4%で、解答類型とその反応率は次の通りです。
12月15日:21.7% 12月30日:13.9% 12月14日:3.0%
12月11日:1.9% 12月12日:1.9% 12月6日:1.5%
12月23日:1.5% 12月21日:1.1% 12月22日:1.1%
12月26日:1.1% 12月29日:1.1% その他:6.1%
無回答:3.7%
最も多い12月15日は、1回目に3人が同時に休みになる日を答えたのでしょう。
次に多い12月30日は、1回目が15日だったので、その倍である30日と考えたのだと思われます。
表を改めてよく見ると、山根さんと川本さんは、15日が連続する休みの最終日になっていますが、海野さんは3連休のうちの2日目なので、まだ休みが1日余っています。これに気づかず、海野さんも含めて15日でリセットさせてしまったことで、30日という間違いにつながりました。
●過去との比較●
では、過去に出した類題と比較してみましょう。
過去に出した類題は、次の通りです。
【問題】
松井さん、竹田さん、梅野さんの3人が交代でうさぎのえさやり当番をすることになりました。3人は、1月1日から当番を始めますが、3人は、
松井さん…2日間続けてえさやりをして1日休み
竹田さん…5日間続けてえさやりをして1日休み
梅野さん…8日間続けてえさやりをして1日休み
をくり返します。
2月に初めて3人が同時に休みになるのは、2月何日ですか。
今回の問題と違うのは、休みが3人とも1日というところです。
つまり、同時に休みになる日を考えるには、最小公倍数を考えればよいということです。休みを含めた日数を1まとまりとすると、松井さんは3日、竹田さんは6日、梅野さんは9日で1まとまりとなります。よって、3と6と9の最小公倍数である18日に1回、3人が同時に休みになります。
つまり、1月18日に3人が同時に休みになり、次に3人が同時に休みになるのはその18日後なので、18×2=36、かつ1月は31日までなので、36−31=5 より、2月5日となります。
この問題の正答率は42.7%で、今回とほぼ同じでした。また、解答類型とその反応率は次の通りです。
2月18日:9.8% 2月6日:5.8% 2月9日:4.7%
2月10日:4.7% 2月17日:3.6% 2月4日:3.3%
2月24日:2.9% 2月23日:2.5% 2月3日:2.2%
2月13日:1.8% 2月16日:1.8% 2月14日:1.4%
その他:6.6% 無回答:6.2%
最も多かった2月18日は、1月末でリセットし、2月1日から再びルールを適用したものです。月が変わるとルールがリセットされると問題文には記されていないのに、ルールをリセットする、または毎月1日から同じルールが適用されると考える子は一定数いるようです。
次に多かった6日は、おそらく1月を30日までとして計算したのでしょう。
9日と10日は、休みを含まない2・5・8の最小公倍数「40」で考えた可能性があります。(40−31=9、または40−30=10)
●まとめ●
今回の問題では、周期のとらえ方を誤り、1回目に全員が休んだ日を「周期のはじまり」として計算してしまう誤答や、「月が変わるとリセットされる」といった、問題文に書かれていないルールを勝手に適用してしまうケースが多く見られました。
このようなミスをする子どもには、「頭の中だけで考えてしまう」という傾向がよくあります。ルールを正確に読み取り、筋道を立てて考えるためには、まず表や図を使って情報を整理させることが効果的です。
計算力だけでなく、「書き出して考える習慣」を身につけることで、問題の構造を正しくとらえ、正解にたどりつく力を伸ばすことができます。