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思考力検定

2025年10月02日

正答率の低かった問題の紹介(2025年度 第1回 7級)

2025年度 第1回のふり返り、今回は7級の問題です。

【問題】
つばささんは、家で夕食の手伝いをします。
下のように、1月1日からその年の12月31日までの365日間の毎日、
料理🍳か洗い物🧽のどちらか1つを、🍳🍳🍳🧽🧽🧽🧽の順番で、
手伝うことにしました。

(1) 1月1日から1月20日までの間に、つばささんが料理
 を手伝う日は、何日ありますか。
(2) つばささんがその年の12月31日の夕食で手伝うのは、
 料理と洗い物のどちらですか。考え方も書きなさい。


【考え方】
(1) 🍳🍳🍳🧽🧽🧽🧽の7つを1つのまとまりとすると、
 1月1日から1月20日までの20日間では、
   20÷7=2あまり6
 より、 🍳🍳🍳🧽🧽🧽🧽のまとまりが2回くり返された
 あとに、🍳🍳🍳🧽🧽🧽が続くことがわかります。
 1回のまとまりの中に料理を手伝う日は3日ありますから、
 つばささんが料理を手伝う日は、
   3×2+3=9(日)
 あるとわかります。
(2) 1月1日から12月31日までの365日間では、
   365÷7=52あまり1
 より、🍳🍳🍳🧽🧽🧽🧽のまとまりが52回くり返された
 あとに、🍳が続くことがわかります。
 ですから、12月31日につばささんは、料理を手伝います。


正答率は、(1)85.2%、(2)39.1%でした。
(2)の正答率が低くなった理由は “考え方も記述” させたためですが、「料理」のみ正解できた子(29.2%)を加えた場合の正答率でも68.3%に留まりました。
一方で、「洗い物」と答えた子が22.0%もいたほか、無回答が7.7%、その他の答えを書いた子が2.0%いました。

ちなみに(1)の誤答の反応率は、次の通りです。
8日:2.8%  6日:2.3%  20日:2.0%
11日:1.5%  12日:1.5%  その他:4.7%

”8日”は、問題文の図に🍳が8個描かれていたので、それを数えたものと思われます。
”6日”は、20÷7=2あまり6 の “あまり6” を考慮せず、3×2=6 と考えたものと思われます。
”20日”は、1月1日から1月20日の20日間を答えたものと思われます。
”11日”は、料理ではなく洗い物の日数(4×2+3=11)を答えたのかもしれません。
”12日”は、11日と同様に洗い物の日数を数える際に、+3ではなく+4をした可能性があります。

では、(2)の誤答うち、目立ったものを見てみましょう。

〈365÷7=52あまり1の計算はしている〉
先にも述べた通り、「料理」のみ正解できた子は29.2%ですが、そのなかで「365÷7=52あまり1」の計算をしている子は全体の11.8%で、この子たちのほとんどは計算式のみで終えてしまっています。おそらく、「あまり1」が次の料理だと分かっている子もいると思いますが、その理由まで書けていません。一方で、「1日くり上がって料理」「あまり1は最後の日だから料理」など、強引な理由づけをしている答えもありました。

〈365日=52週間+1日と理由づけている〉
🍳3回+🧽4回=7回 から1週間と結びつけたのだと思いますが、1年が52週だからと言ってしまうと、理由としてはおかしくなってしまいます。

〈1年間の日数を間違えている〉
問題文に365日と指定しているのに、364日、366日など、他の日数で計算している答えがありました。364日の場合は、364÷7=52 で割り切れるため洗い物と結論づけていました。ほかにも、360日、385日、1231日、1262日など、大きく違う値の答えもありました。

〈12月のみで考えている〉
12月の31日間のみで考え、31÷7=4あまり3 としている答えがありました。1年間通して7回をくり返すのではなく、毎月1日からスタートすると考えたのかもしれません。似たような答えで、12月だけでなくすべての月について、それぞれの月の最終日が料理か洗い物かを考えている答えもありました。

〈●●●〇〇〇〇をかいて考えている〉
●●●〇〇〇〇のように、●と〇を365日分かこうとしている答えもありましたが、途中からかき間違いが発生していたり、365日分かいていなかったりする答えもありました。また、●・〇以外に、□・○、□・△、り・あ、り・さ などもありました。

〈前年の12月31日を答えている〉
今年の1月1日から3日までが料理だから、1月1日の前日、つまり前年の12月31日は洗い物だと結論付けている答えがありました。

〈あまり1を四捨五入〉
あまり1を四捨五入して52回くり返した。だから洗い物だと結論づけている答えがありました。

〈365÷7=52.1…〉
あまりを出さずに小数まで計算して終わっている答えがありました。

〈365÷3と365÷4〉
🍳が3回くり返していることから、365÷3=121あまり2 を行い、2日あまるから料理と結論づけている答えがありました。ほかには、365÷4=91.25 で割り切れるから洗い物という答えもありました。似たような答えで、365÷7=52あまり1 の52をさらに3と4で割っている(52÷3、52÷4)答えもありました。

〈計算ミス〉
「365÷7=52あまり2」や「365÷7=52あまり3」、「365÷7=52」という答えがありました。「あまり3」とした答えの中には、🧽🧽🧽🧽の後ろ3つがあまるから洗い物と結論づけている答えもありました。

〈365÷20ほか〉
(1)に出てきた20という数値を使って、365÷20=18あまり5 より、🍳が3回続くから、5-3=2 で洗い物としている答えがありました。20のほかには、6や8、10で割っている答えもありました。


他にもいろいろな誤答が見られましたが、複数人が同じような間違いをしていて目立ったものは以上となります。

●過去との比較●
それでは、過去に同じ問題を出題したときとの比較です。
(過去問ではキャベツとニンジンでしたが、料理と洗い物で解説します)

(1)の正答率は85.3%で、今回(85.2%)とほぼ同じでした。
また、誤答の反応率は次の通りで、おおむね今回(カッコ内の値)と同じような反応を示しています。

6日:3.2%(2.3%)  8日:1.7%(2.8%)  11日:2.0%(1.5%)
12日:4.0%(1.5%)  20日:0.6%(2.0%)  その他:3.2%(4.7%)

(2)の正答率は32.6%でした。今回(39.1%)よりも若低いですが、同じ程度の正答率と言えるでしょう。
また、誤答の反応率は次の通りです。(2)についても、今回(カッコ内の値)と同じような反応を示していました。
「料理」のみ正解:38.3%(29.2%)  「洗い物」と答えた:19.0%(22.0%)
無回答:8.6%(7.7%)  その他:1.4%(2.0%)

「料理」のみ正解した答えのうち、365÷7=52あまり1 まではできている子は11.8%でした。今回(11.8%)と同じ反応率です。今も昔も、結論を述べずに計算式だけ書いて終えてしまう子は10%程度いるということでしょう。

その他の考え方についても、今回と似たようなものがほとんどでしたが、割合として多かったのが「31÷7=4あまり3」で考えた答えで、「前年の12月31日」で考えた答えや、「365÷3=121あまり2」で考えた答えも多くいました。

●まとめ●
(1)のような短い期間では、7つのパターンの繰り返しに気づける子が多い、あるいは20日分を書き出して力技で求めることもできるため、正答率が高くなりました。
ところが、(2)のように1年間という長期スパンになると、単純な書き出しでは対応できず、「7つ1セットを繰り返す」という本質に気づけるかどうか、さらに気づいたあとにどう式を立てて根拠づけるか、いくつものハードルが存在します。計算だけはできても理由まで書けない子や、問題文に出てきた数値を手当たり次第に組み合わせて計算してしまう子が一定数いたことも、その現れといえるでしょう。
こうした課題を克服するためには、「周期性のあるものを長期的に扱う練習」と「理由を言語化する練習」が有効です。たとえば、カレンダーに色を塗って周期を視覚化したり、曜日や天気など身近なデータを1か月〜半年単位で整理してパターンを探したりする活動が考えられます。また、計算の手順を書かせるだけでなく「なぜそう考えたか」を必ず一文添えるようにさせると、理由づけの力が自然と養われます。

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