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思考力検定

2025年09月03日

子どもの思考力を育てる学び ― 森上教育研究所・森上展安先生に聞く

子どもが将来、国際社会で自立して生き抜くためには、小さい頃から思考力を育てていくことが大切です。そんな思考力の育成について、教育コンサルタントとして著名な森上教育研究所の森上展安先生に伺いました。

◇思考力とは何か◇
「思考力とは、直面した問題をどう解決していくかという能力です。思考力を育てるとは、統合的な力をつけることを意味します。運動にたとえれば、瞬発力や判断力、基礎体力のどれか一つだけを鍛えるのではなく、すべてを統合的に鍛えるようなものです。算数・数学は、この統合的な力を育てるのに適した教科といえるでしょう。」

◇よい問題で育つ力◇
「思考力の育成には、さまざまな観点や傾向が組み合わさった良質な問題が欠かせません。難易度が高く、かつ子どもが面白がって取り組める問題が理想です。よい問題に出会うことで、論理的・構造的に考える力や、メタ認知能力 ― 自分がどの問題に取り組めて、どの問題に取り組めないかを客観的に見る力 ― が養われます。」

◇トライ&エラーの大切さ◇
「思考力を伸ばすには、間違いを恐れないことです。仲間と一緒に『なぜ?』を考え、間違ってもよいから答えを導いてみる。トライ&エラーを繰り返す中で応用力が身につきます。」

◇夢中になるほど能力もアップ◇
「時間の制約なく考えさせることも必要です。工夫する楽しみというのは、時間の制約がなくなるほどよいのです。子どもは夢中になると能力もアップしますし、成績が伸びている子ほど集中力が高い傾向があります。ですので、最後まで考えさせることが重要です。さらに、子どもは周囲の影響を受けやすいものです。数学が好きな子は、親も数学好きなことが多いですし、建築家の子どもは立体を好むこともよくあります。近年では、難しい文章を読めない子どもが増えています。小説の読み取りができないのは、集中して読む経験が不足しているからです。」

◇深い学びが生涯の力に◇
「学習には3つの段階があります。課題をこなすだけのSurface Learning、効率的に結果を出すStrategic Learning、そして課題を手がかりに問題を深く理解するDeep Learningです。最後のDeep Learningを積み重ねることで、暗記ではなく統合的な知識が身につきます。これは一生の財産になります。」

かつては「情報社会」と呼ばれ、知っているかどうかが問われました。しかし今は「知識基盤型社会」といわれ、知識の正確さを基盤として、それをどう活用して問題を解決できるかが問われています。さらにAIの進展によって、単なる知識や作業は機械に代替される時代になりました。そのような社会を生き抜くためにも、人間ならではの「思考力」を育てることがこれまで以上に重要なのです。

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