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思考力検定
2025年06月11日
正答率の低かった問題の紹介(2024年度 第3回 4級)
2024年度 第3回のふり返り、今回は3級の問題です。
3級の第3回は飛び級で受ける子が多く、さらに飛び級で受ける子は優秀な子が多いため正答率が高くなる傾向があるのですが、この問題は正答率が低く出ました。
対象級より低学年でも考えれば解ける問題ではありますが、それでも思考するのが少し難しい問題といえます。
【問題】
池のまわりの遊歩道を、AさんとBさんがスタート地点から同時にスタートして、1周します。遊歩道の1周は960mで、Aさんは毎分80m、Bさんは毎分160mで同じ方向に進みます。また、先に1周した人は、相手がスタート地点に戻ってくるまで待ちます。2人が同時に出発してからx分後の2人の間の道のりをymとするとき、xとyの関係を表すおよそのグラフをかきなさい。
【考え方】
2人の間の道のりは、毎分
160-80=80(m)
ずつ離れます。(下の図①)
また、Bさんは1周するのに、
960÷180=6(分)
かかるので、もっとも離れるのは、Bさんがスタート地点に戻る6分後となります。(下の図②)
また、Aさんが1周するのに、
960÷80=12(分)
かかるので、2人が同時に出発して6分後から12分後までは、2人の間の道のりは毎分80mずつ縮まり、12分後には0になります。(下の図③)
これをグラフに表すと、次のようになります。
正答率は、30.4%でした。
ポイントは、左右対称であることと、頂点が480mのあたりであることです。
このどちらか、または両方が正しく描けていなかったものが目立ち、全体の34.8%もいました。
このことから、だんだん広がっていき、そしてだんだん狭くなっていくということまではイメージできているのに、数量的な部分をイメージできていない子が多いことがわかります。
一方で、比例のグラフを描いた子が30.4%もいました。だんだん2人の間が広がっていくということはイメージできても、Bさんが先に着いたあとに距離が縮まっていくというイメージができなかったのでしょう。
また、次の図のように、途中でグラフの傾きを緩やかにした子もいました。(4.3%)
この子は、Bさんが先に着いたあとに変化が起こるというイメージまでは浮かんだのでしょう。
この問題のように、数量的なデータから変化を読み取り、グラフをイメージする力はとても重要です。日常生活の場面でも、メディアなどで取り上げられているグラフを誤読している場面をよく見かけますので、大人になってもとても必要な力です。
データを正しく読み、そしてそのデータからどのようなグラフができそうかというイメージを作る練習はとても重要なので、繰り返し練習するとよいでしょう。