TOPICS
思考力検定
2024年05月15日
正答率の低かった問題の紹介(2023年度 第3回 9級)
2023年度第3回9級で正答率の低かった問題の紹介です。
小問2つの問題で、(2)のほうが正答率が下がると思って出した導入問題の(1)が、思いのほか正答率が低く出ました。
解答類型とその反応率を見ると、ルールを適切に読み取れていないということがよくわかりました。
では、問題を見てみましょう。
【問題】
1から24までの数がそれぞれ1つずつ書かれた24個のボールがあります。
このボールを、あ、い、う、えの4つの箱に1個ずつ、1から順に
あ→い→う→え→う→い→あ→い→…
のように入れていきます。
(1) 19が書かれたボールは、どの箱に入ったか答えなさい。
では、ルールに則って、あ、い、う、えの4つの箱に入るボールに書かれた数を、順に書いてみましょう。
上の図から、19が書かれたボールは "あ" の箱に入ったことがわかります。
では、解答類型とその反応率を見てみましょう。
あ:34.9%、い:5.3%、う:53.3%、え:4.0%
その他(無回答含む):2.5%
正解のあよりも、うと答えた児童が多くいました。
これはおそらく、次のように考えたのでしょう。
問題で提示されているルールをしっかり丁寧にみ取ることが重要なのですが、そこをおろそかしにしてしまう傾向は、学齢にかかわらずよく見かけます。
では、せっかくなので、(2)の問題も見てみましょう。
(2) 24個のボールを入れ終わったあと、それぞれの箱に入ったボールに書かれた数を全部たしたところ、合計が同じになった箱がありました。それはどの箱とどの箱ですか。
【考え方】
それぞれの箱に入ったボールに書かれている数をたすと、次のようになります。
これより、合計が同じになった箱は、"い"の箱と"う"の箱とわかります。
では、解答類型とその反応率を見てみましょう。
あとい:7.9%、あとう:20.0%、あとえ:8.3%
いとう:32.3%、いとえ:10.9%、うとえ:7.1%
無回答:11.1%、その他:2.4%
(1)の正解者が34.9%だったので、(2)の正解者32.3%は、(1)が正解できた児童は(2)もできたように見えます。
しかし、(1)と(2)の両方を正解した児童の割合は23.0%でした。
つまり、(1)ができた児童のうち、約35%の児童は(2)を間違えています。
また、(1)で"う"の箱と答えた児童の、(2)の解答類型と反応率を調べました。
(うと答えた児童に対する比率です)
あとい:10.6%、あとう:32.2%、あとえ:8.0%
いとう:12.9%、いとえ:13.3%、うとえ:9.5%
無回答:11.0%、その他:2.5%
「あとう」と答えた児童が多かったようです。
ちなみに、(1)でうと答えた児童の考え方が上の図のようだった場合、それぞれの箱に入ったボールに書かれている数をたすと、次のようになります。
どの箱も合計が75になるので、どうして「あとう」と答えた児童が多かったのかわかりません。
しかし、間違えたことから「どの箱の合計も同じになる」ということに気づき、次のように箱の数を増やしても成り立つことを考えさせると、より思考力が育つと思います。
さらに、数を増やしていったり、どうしてそのようになるのか考えたりと、どんどん発展させていくと、楽しい探究活動になるでしょう。
ぜひ、試してみてください。