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思考力検定

2026年10月28日

正答率の低かった問題の紹介(2026年度 第1回 5級)

2026年度 第1回のふり返り、今回は5級の問題です。

【問題】
ある中学校の1年生全員が、英語、数学、国語の10点満点の小テストを受けました。

(1) A組の生徒は40人です。このクラスでは、数学が10点の人は23人、国語が10点の人は21人いました。数学と国語のどちらも10点だった生徒は、少なくとも何人いますか。

(2) 次に、学年全体の120人のテストの結果について考えます。
英語が10点の人は43人、数学が10点の人は36人、国語が10点の人は40人いました。また、英語と数学だけが10点の人は7人、英語と国語だけが10点の人は8人、数学と国語だけが10点の人は11人、英語だけ10点の人は23人いました。
英語、数学、国語がすべて10点だった生徒は何人いますか。


【考え方】
(1) 数学が10点ではなかった人は、
 40-23=17(人)
です。
この17人全員が国語で10点だったとしても、国語が10点の21人のうち、
 21-17=4(人)
は、数学も10点でなければなりません。

(2) 英語が10点だった43人は、次の4つのグループに分けられます。
・英語だけが10点だった人:23人
・英語と数学だけが10点だった人:7人
・英語と国語だけが10点だった人:8人
・英語、数学、国語のすべてが10点だった人:?人
この4つのグループは重複しないため、英語が10点だった43人から、人数がわかっている3つのグループを引けば求められます。
 43-23-7-8=5(人)
したがって、3教科すべてが10点だった生徒は、5人です。

正答率は、(1)が63.6%、(2)が34.5%でした。

(1)では6割以上の子が正解できた一方、(2)では正答率が3割台に下がっています。

まず、(1)の解答類型とその反応率を見てみましょう。

(1) 21人:12.7%、2人:5.5%、その他:16.4%、無回答:1.8%

(1)で目立った誤答は「21人」の12.7%でした。
21人というのは、問題文に示されている「国語が10点の人数」です。数学も国語も10点だった人数を求める問題ですが、国語が10点だった21人をそのまま答えた可能性があります。
また、「2人」と答えた子も5.5%いました。
(1)のポイントは、数学が10点の23人と国語が10点の21人を、できるだけ重ならないように考えることです。
2つの人数を足すと、
 23+21=44(人)
となり、クラス全体の40人を4人上回ります。この4人は、必ず両方の教科で10点だった人として重なることになります。
ただし、問題で求められているのは、実際に両方10点だった人数ではなく、「少なくとも何人いるか」という最小の人数です。
この違いを理解して考えられたかどうかが、正誤を分けるポイントだったと考えられます。

続いて、(2)の解答類型とその反応率を見てみましょう。

(2) 3人:7.3%、6人:5.5%、7人:5.5%、その他:36.3%、無回答:10.9%

(2)では、正答の5人以外に、3人、6人、7人という答えが比較的多く見られました。また、無回答は10.9%で、(1)の1.8%から大きく増えています。
(1)は2教科の人数を考える問題でしたが、(2)では3教科になり、さらに「英語と数学だけ」「英語と国語だけ」など、複数の条件が登場します。
どの情報を使えばよいのか、どの人数を引けばよいのかを整理することが、難しくなったと考えられます。
それでは、(2)について、もう少し詳しく考えてみましょう。

【(2)の誤答から考えられること】

〈「だけが10点」の意味を区別できたか〉
この問題で特に重要なのは、「英語と数学だけが10点の人」という表現です。
これは、英語と数学が10点で、国語は10点ではなかった人を表しています。
したがって、英語と数学だけが10点の7人には、3教科すべてが10点だった人は含まれていません。
同様に、英語と国語だけが10点の8人にも、3教科すべてが10点だった人は含まれていません。
もし「英語と数学が10点の人」と「英語と数学だけが10点の人」を同じ意味で捉えてしまうと、人数の重なり方を正しく整理できなくなります。
集合の問題では、こうした言葉の違いが計算のしかたに直接関係します。

〈3教科すべてが10点の人を、どこに位置づけるか〉
英語が10点だった43人の中には、数学も国語も10点だった人が含まれています。
しかし、3教科すべてが10点だった人は、「英語だけ」「英語と数学だけ」「英語と国語だけ」のいずれにも含まれません。
そこで、英語が10点だった43人を、重複しない4つのグループに分けて考える必要があります。
 英語だけ:23人
 英語と数学だけ:7人
 英語と国語だけ:8人
 3教科すべて:?人
このように整理すれば、
 43-(23+7+8)=5(人)
と求められます。

ところが、3教科すべてが10点だった人を、2教科が10点だった人の中にも含めて考えたり、逆に必要なグループを数え落としたりすると、正しい人数を求められません。
今回、「3人」が7.3%、「6人」「7人」がそれぞれ5.5%という反応率でした。
これらの誤答がどのような計算から生じたかはわかりませんが、人数の分類や計算の過程で誤りが生じた可能性があります。

〈問題文のすべての数値を使う必要はない〉
もう1つ注目したいのは、(2)を解くために必要な情報です。
問題文には、学年全体が120人であることや、数学が10点の人が36人、国語が10点の人が40人いることも示されています。
しかし、(2)を解くために必要なのは、
・英語が10点の人:43人
・英語と数学だけが10点の人:7人
・英語と国語だけが10点の人:8人
・英語だけ10点の人:23人
という4つの情報だけです。
学年全体の120人や、数学・国語それぞれの満点者数を使わなくても、答えを求めることができます。
問題文に多くの数値が登場すると、すべての数値を使わなければならないと考えてしまうことがあります。
しかし、思考力を問う問題では、与えられた情報の中から、目的に応じて必要なものを選び取ることも大切です。

〈ベン図を使えば整理しやすい〉
3教科のように複数の条件が重なる問題では、先に示したベン図を使って考える方法もあります。
英語、数学、国語を3つの円で表し、それぞれの円が重なる部分に人数を記入していきます。
このとき、「英語だけ」の23人は英語の円だけの部分に、「英語と数学だけ」の7人は英語と数学の2つの円が重なる部分のうち、国語の円とは重ならない部分に記入します。
同様に「英語と国語だけ」の8人を記入すると、英語の円の中で残っているのは、3つの円が重なる中央部分だけです。
その人数が、
 43-23-7-8=5(人)
となります。
図に表すことで、それぞれの人数がどのグループに属するのか、重複して数えていないかを視覚的に確認できます。
ただし、ベン図をかくこと自体が目的ではありません。
大切なのは、どの条件を満たす人が、どのグループに属するのかを正確に理解することです。

【(1)と(2)の違い】
(1)と(2)は、どちらも複数の条件を満たす人数を考える問題ですが、求め方には違いがあります。
(1)は、数学が10点の23人と国語が10点の21人について、重なる人数が最も少なくなる場合を考えます。
一方、(2)は、英語が10点の43人を、重複しないグループに分け、まだわかっていない人数を求めます。
つまり、(1)では「重なりを最小にする」こと、(2)では「重複しないように分類する」ことがポイントです。

(1)の正答率63.6%に対し、(2)の正答率は34.5%でした。
(2)では、3教科の条件を同時に扱う必要があるうえ、「だけ」という言葉の意味を正確に読み取り、複数の人数を整理しなければなりません。
こうした条件の増加が、正答率の低下につながった可能性があります。

●まとめ●
今回の問題は、計算そのものは決して難しくありません。
(2)も、必要な情報を正しく整理できれば、
 43-7-8-23=5(人)
という引き算で求められます。
それでも正答率が34.5%にとどまったことから、計算する前の段階で、問題文の条件を読み取り、人数の関係を整理することに難しさがあったと考えられます。

特に重要なのは、次の3点です。
① 条件を表す言葉の意味を正確に捉えること
「英語と数学が10点」と「英語と数学だけが10点」は、同じ意味ではありません。「だけ」という言葉があるかどうかで、含まれる人数が変わります。
② 情報を重複しないように分類すること
複数の条件があるときは、表やベン図を使って整理することで、数え落としや二重に数える間違いを防ぎやすくなります。
③ 必要な情報を選び取ること
問題文に登場するすべての数値を使う必要はありません。何を求めるのかを確認し、そのために必要な情報を選ぶことが大切です。

こうした力を育てるには、身近な題材を使って、複数の条件に当てはまるものを分類する活動が考えられます。
たとえば、好きなスポーツや習い事についてアンケートを取り、「サッカーが好きな人」「野球が好きな人」「両方好きな人」「どちらも好きではない人」を整理してみるのもよいでしょう。
最初は2つの条件から始め、慣れてきたら3つの条件に増やしていくことで、情報の重なりを捉える練習になります。
「どの数字を使って計算するか」を考える前に、「それぞれの数字が何を表しているのか」を整理する。
今回の問題は、そんな思考の大切さを改めて示してくれた問題だったといえるでしょう。

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